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「下水疫学」のパイオニア

2023/03/01 会員限定記事

医工連携の実践者86 北島正章 北海道大学准教授

連載 :

 新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の感染者数の把握が22年9月末に簡便化されて5ヵ月が経過した。5月には感染症法上の位置付けが5類相当に変わる。こうした変更が社会の正常化へ必要とは理解しつつ、変異株などによる再興に見舞われたとき対応は遅れないかと不安がる声も絶えない。  患者が実際に出現するより何日も早く予測して備えられる方法があったら、こうした不安は随分と和らぐだろう。こんな要請に応える論文が、1月の『Environment International』誌に報告された。  下水中のウイルスRNA濃度を調べる「下水疫学」で、採水日から5日後までの新規報告感染者数を高精度で予測できることが、札幌市での2年以上の測定データを検証した結果、実証されたという。  一般に、感染者は発症前から唾液や糞便中へのウイルス排泄を開始すると考えられ、流入下...  新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の感染者数の把握が22年9月末に簡便化されて5ヵ月が経過した。5月には感染症法上の位置付けが5類相当に変わる。こうした変更が社会の正常化へ必要とは理解しつつ、変異株などによる再興に見舞われたとき対応は遅れないかと不安がる声も絶えない。  患者が実際に出現するより何日も早く予測して備えられる方法があったら、こうした不安は随分と和らぐだろう。こんな要請に応える論文が、1月の『Environment International』誌に報告された。  下水中のウイルスRNA濃度を調べる「下水疫学」で、採水日から5日後までの新規報告感染者数を高精度で予測できることが、札幌市での2年以上の測定データを検証した結果、実証されたという。  一般に、感染者は発症前から唾液や糞便中へのウイルス排泄を開始すると考えられ、流入下水中

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