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核酸アプタマーの伝道師

2023/02/15 会員限定記事

医工連携の実践者85 吉本敬太郎 東京大学准教授

連載 :

 抗体と同じように標的分子と特異性高く結合し、治療や診断など抗体と同じ用途に使える核酸(DNA/RNA)が核酸アプタマーだ。  知名度は必ずしも高くないけれど、核酸アプタマーには抗体より優れている点が多い。抗体は、動物や細胞を使ってつくられるため品質のバラつきを避けられず、製造コストが高い。また、輸送・保管中の変性を防ぐためコールドチェーンが必要で、そのコストも高い。核酸は化学合成で安価に大量生産でき、とくにDNAなら常温でも安定している。しかも、抗体では薬効を解除する中和剤の合理的設計法が確立されていないのに対して、核酸はすぐ化学合成できる相補鎖が中和剤となる。  さらに、複数連結して、それぞれの性質を併せ持たせるマルチスペシフィック化も、抗体に比べてはるかに容易だ。  これほど多くの利点がありながら、上市され...  抗体と同じように標的分子と特異性高く結合し、治療や診断など抗体と同じ用途に使える核酸(DNA/RNA)が核酸アプタマーだ。  知名度は必ずしも高くないけれど、核酸アプタマーには抗体より優れている点が多い。抗体は、動物や細胞を使ってつくられるため品質のバラつきを避けられず、製造コストが高い。また、輸送・保管中の変性を防ぐためコールドチェーンが必要で、そのコストも高い。核酸は化学合成で安価に大量生産でき、とくにDNAなら常温でも安定している。しかも、抗体では薬効を解除する中和剤の合理的設計法が確立されていないのに対して、核酸はすぐ化学合成できる相補鎖が中和剤となる。  さらに、複数連結して、それぞれの性質を併せ持たせるマルチスペシフィック化も、抗体に比べてはるかに容易だ。  これほど多くの利点がありながら、上市された核

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