騒音下でも骨伝導音声をクリアに
2023/07/15
会員限定記事
医工連携の実践者95 鵜木祐史 北陸先端科学技術大学院大学教授
連載 : 医工連携の実践者
国際アルツハイマー病協会国際会議で20年、対策を尽くせば認知症発症の40%は防げるとの推計が報告され、会議後に論文が『THE LANCET』誌に掲載された。
対策できるリスクのうち寄与割合最大と見積もられたのが、中年期以降に起きる難聴で、その寄与割合は8%だった。脳に伝わる音の刺激や他人との会話、生じる情動が減ることで、脳神経細胞が使われなくなって廃用死しやすくなるからと考えられている。
中年期以降に生じる難聴のほとんどが、内耳の蝸牛にあって音を電気信号へと変える有毛細胞が減ったり機能しなくなったりして起きる感音性難聴だ。そして先述の報告は対策すれば認知症のリスクを下げられると主張していたが、現実に起きていることはむしろ逆だ。世界保健機関(WHO)は15年に公表した報告書で、都市化に伴う騒音増加や携帯音響機器のイヤホン普及に伴っ...
国際アルツハイマー病協会国際会議で20年、対策を尽くせば認知症発症の40%は防げるとの推計が報告され、会議後に論文が『THE LANCET』誌に掲載された。
対策できるリスクのうち寄与割合最大と見積もられたのが、中年期以降に起きる難聴で、その寄与割合は8%だった。脳に伝わる音の刺激や他人との会話、生じる情動が減ることで、脳神経細胞が使われなくなって廃用死しやすくなるからと考えられている。
中年期以降に生じる難聴のほとんどが、内耳の蝸牛にあって音を電気信号へと変える有毛細胞が減ったり機能しなくなったりして起きる感音性難聴だ。そして先述の報告は対策すれば認知症のリスクを下げられると主張していたが、現実に起きていることはむしろ逆だ。世界保健機関(WHO)は15年に公表した報告書で、都市化に伴う騒音増加や携帯音響機器のイヤホン普及に伴って、