次に挑戦するのはトラムだ。プラハのトラムの車両には大きく分けて2種類あり、新型の低床式車両では比較的スムーズに車椅子での乗り降りが可能だ。1つの扉だけについている青いボタンを押して運転手に車椅子の利用を知らせると、運転手が降りてきて、床にはめ込まれたスロープを手動で操作して設置してくれる。スロープで車内に乗り込むと進行方向に背を向けた壁に取り付けられたベルトで車椅子をしっかりと固定することになる。降車する時も、車椅子スペースの窓側についている青いボタンを押して運転手に合図を送り、停留所で運転手が出てきて、手動でスロープを設置する。乗降に2分程度の時間を要するのが気がかりだが、周りの乗客はその程度の時間であれば気に留めていないようにも見える。
プラハの街中を移動していて、気がついたのは、待ちゆく人々が、車椅子ユーザに対して優しい目を向けてくれることだ。トラムで乗車する時や、停留所で除圧作業をしている時など、荷物を持とうか、助けが必要かと声をかけてくれる。真面目そうな若者もいれば、タトゥーがたくさん入った若者もいたし、中年女性もいれば、渋めな親父さんもいた。肌感覚では、プラハでは10人に1人が手助けを申し出てくれるような印象があり、大阪や東京と比べても、その親切さは際立って感じられた。
今回のプラハでの移動体験を通じて、感じたことは、インフラや制度面で、日本は優れたところがたくさんあるが、人々の接し方にまだまだ乗り越えたい側面が多数あると言うことだろうか。