——スタートアップ企業であるMediiでは、どのような事業を行っていますか。


山田 私自身も自己免疫難病を抱えており、その経験から「誰も取り残さない医療を」との考えのもと、大学病院や離島などでの勤務を経て、20年に起業した。適切な医療や医薬品が届くべき人に届き、使うべき人に使うことができるようにすることをめざしている。現在の社員数は約30人。医師専用オンライン専門医相談サービス「E—コンサル」の運営と、製薬企業向けマーケティング支援の2つを手掛けている。



——E‐コンサルはどのような内容ですか。


山田 希少疾患や難病は、医学部でも学ぶ機会が限られ、診たことのある医師も多くないため、診断を下すまでに時間がかかってしまう。そこで診断が難しい症例に遭遇した場合、専門医とオンライン相談できる仕組みを整えたのがE—コンサルだ。膠原病や肺高血圧症、不明熱・家族性地中海熱、重症筋無力症などさまざまな専門家が回答医としている。


 従来は伝手を使うしかなかったが、E—コンサルを用いることで効率的かつワンストップでつながることが可能となり、対応率向上にも結び付くことが期待できる。



——製薬企業向けにはどのようなサービスを提供しているのでしょうか。


山田 国内医薬品市場のなかで希少疾患などスペシャリティ医薬品の割合が増えるにつれて、せっかく新薬が出ても医師に使ってもらえないという「ラストワンマイル」問題が生じている。希少疾患領域かつ新薬開発が加速していることから、医師個々人の努力では最新情報をアップデートする方法は限界に近い。


 そこでE—コンサルで築いた専門家ネットワークを通じ、疾患啓発とともに、新薬についても正しく知ってもらうための取り組みを製薬企業と展開中だ。Mediiを介することで、医師に対してフェアなかたちで取り組みを進めることができるようになる。