GLP1市場は免疫腫瘍薬を抜く


 ノボは11月6日に第3四半期決算を発表した。先に発表しているイーライリリーのGIP/GLP1製剤「マンジャロ」とその抗肥満薬「ゼップバウンド」を含めた24年1〜9月の市場をまとめると表の通り。トップはノボのオゼンピックであるが、リリーのマンジャロは前期比2.7倍の80億ドル、米国で12月に発売したゼップバウンドは一挙に30億ドルを売り上げ、初年度から四半期で10億ドルベース。下側の2つは1日1回製剤で縮小傾向にあるが、全体では47%増の370億ドル。米国の市場はマンジャロが加わったため、50%増の267億ドルで世界の72%を占める。現在の売上げの流れに基づいて年間の市場予想をグラフにするとのようになる。24年通期の市場予想は530億ドルで前期比44%増だが供給状況が改善すれば上振れする可能性がある。



 近年急成長したのはPD1/L1の免疫腫瘍薬市場であるが、23年の市場が20%増の478億ドルなので24年のGLP1市場はそれを抜く。免疫腫瘍薬市場は24年上半期に13%増と伸びが鈍化して258億ドル。24年は23年の市場から13%増とすれば540億ドル。GLP1市場が上振れすれば免疫腫瘍薬市場と並ぶか抜く可能性もある。少なくとも25年にはGLP1市場のほうが大きくなることは間違いない。


「GLP1製剤を含む抗肥満薬市場は31年に2000億ドル」という予測が9月にモーニングスターから出されている。23年の368億ドルの市場からすれば、年平均24%増なら31年の2000億ドルは可能。24年は44%増でこの伸びは徐々に低下していくだろうが平均24%増は十分可能だ。


 23年の最大の薬効は抗がん剤で2049億ドル、2位の「ヒュミラ」や「デュピクセント」などの免疫疾患薬は933億ドルの市場がある。GLP1製剤やこれから登場する抗肥満薬が2000億ドルになるとすれば、免疫疾患薬を抜いて世界2位の薬効になる。


 世界的大手は市場の大きい薬効の研究開発を進めることになるため、ロシュはカーモット・セラピューティクスを27億ドルで買収して抗肥満薬と糖尿病薬3つを獲得した。最近増えているのは抗肥満の経口剤の開発である。業界の注目を集めているバイキング・セラピューティクスはリリーのマンジャロと同クラスの経口剤とも言える成分を開発中。11月4日には40mgを投与した患者では28日後に57%が5%以上体重が減少し、100mgでは体重が6.8%減少したと発表した。


 一方、ノボノルディスクは経口剤としてGLP1とアミリン受容体の二重作動薬を開発中で、月1回ですむGLP1の注射剤の開発も開始している。