見ると聞くでは大違い。説明書を読んで感覚的に理解したつもりでも、初めて使用する人は正しい手順を取れず困惑する可能性がある。例えば列を成した避難所のトイレで切羽詰まった焦りのなか、手際よく、備え付けられた非常用トイレセットから黒い汚物袋を1枚取り出してセットするだけでも至難の業だ。しかもそれが停電下、光源のスマホを片手に持ったままだったら、私も上手く処理する自信がない。恥ずかしながら私自身、焦って便座の上から袋をセットしてしまい大変な思いをした経験がある。凝固剤が見当たらない場合もある。蛇足になるが、洋式であろうと和式トイレであろうと、断水時には最初に便器に溜まっている水を流してから汚物袋をセットしないと、周辺が水浸しになるのでご注意を。
最後に男性陣の皆様へご提案。非常時の水洗トイレでは小便器が使用できない。例え使用可能だったとしても、清掃用品が限られている状況下での立ち小便は不衛生を増長させてしまう。そこで普段から「座り小便」を習慣化してみては如何だろう。男の威厳が云々と反論のあるテーマだが、そもそもトイレに威厳を持ち込んでどうする。日頃からトイレ美化に尽力されている方々への敬意と、非常時対応訓練の一環として是非ご検討を。