ロシアへの北朝鮮軍派遣


 西側諸国はウクライナに兵器の供与はできても、部隊の派遣はできない。戦争に介入した敵国としてロシアからの攻撃を招くためだ。一方でロシアと北朝鮮の間にはその制約がないため有利だ。ロシアによるウクライナ侵攻まで、北朝鮮の軍人の半分は飢饉と戦備優先の経済、経済制裁により栄養失調状態と言われてきた。そのためか、身体も小柄で弱々しく見える。しかし、現在は戦争特需により北朝鮮は豊かになった。


 ドイツのフリードリッヒ・ナウマン財団の試算によれば、北朝鮮は全軍100万人のうち1万人の派兵によりGDPの25%に相当する総額最大8500億円を獲得できるほどの経済効果を得られる。銃を撃つだけであれば老若男女にほとんど違いはない。


 ロシアも北朝鮮も、徴兵で集めた兵士に銃を撃たせることで、隠れている敵軍将兵の位置を曝露させ、訓練された職業軍人がそれを減殺していく戦法を採る。徴兵されてきた兵士は「囮(おとり)」であり「捨て駒」なのだ。その目的には元栄養失調の兵士で充分だ。


 第2次トランプ政権は日本の有事に積極的な介入はしないどころか、在日米軍の警備強化を求め、インド洋方面への国際的安定への貢献を強く要請するだろう。そうすれば米軍の犠牲を最少にしてアラスカ正面に戦力を集中できるからだ。北朝鮮は7度目の核実験を成功させ、使える核兵器である中性子爆弾・弾頭の装備化を始める。地上戦力も充実する。この日本の歴史上最も危機的な状況で開始すべきは次の3つの教育である。


1 CBRNe(化学・生物・放射性物質・核・爆発物)事態における生死を分ける最初の10分間の対応の標準化


 NATO(北大西洋条約機構)諸国ではCBRNe事態勃発における最初の10分間の行動について標準化し、一般市民にまで周知させている。にあるような有毒化学剤推定ツールについての教育を行い、中学生以上は誰でも記入、通報できるようにするべきだ。



2 道路の寸断に対応できる救急車運行法と、貨物車輌、輸送ヘリコプターを用いる医療的管理の下に傷病者を搬送する方法の確立


 海外では、貨物車輌や輸送ヘリコプターに救急搬送用の衛生資材を搭載して患者輸送を行う運用法が発達しており、日本でもそれらを実施できるように早急に整備すべきだ。


3 病院施設などの防護レベルの設定と体制づくり、訓練の実施


 病院に暴徒が押し寄せる時代となった今、自然災害に加え、人的災害や放火、弾道ミサイルなどにも対策を講じる必要が生じてきた。