メディケア公開加入期間にMA産業界は、定額による加入者の医療管理を担う民間マネジド・ケアの有効性・効率をうたいつつ、不採算プランの整理・撤収を図り、規模を争う拡張路線から離れた。
プラン提供の微減を経営悪化と強調したが、プラン数が多すぎると選択判断は却って鈍る。財政圧迫でも保険料は下げて健康的な受給者に広く惹きつけ、みえにくい付加給付の制限、負担を増やす。しかしCMSは、市場は安定と断定した。
経費削減、給付設計の調整を通じて回復近しの観測が出始めたとき、共和党主導のMAプログラム運営が約束された。しかし、運営の「さじ加減」で好転する財政環境なのか。
議会諮問委員会MedPACは、公的プランに比べて過剰なMA支払いの是正を求め続ける。メディケア受給者の過半数がMA加入を選び、プログラム間の健康リスク構成が似てきた結果としての費用増ならマネジド・ケアの実力が問われる。
加入者の診断を嵩上げして高いリスク調整支払いを引き出す、高額医療・薬剤の事前承認制の厳しい運用によって高額医療・薬剤の利用を制限するなど、MA批判の報告は今秋も続いた(表右)。上院共和党では受給者アクセスの制限に厳しい議員が幹部に昇格する。
利用管理を徹底して収益拡大に徹するUHGのMAビジネスを検証する『STAT』(医学・医療専門ウェブサイト)は、医師診療のアメとムチを駆使して診療ノルマ達成に励む様相を暴露した(注3)。
保守派の影響力は、MAデフォルト・オプション、競争入札制の浮上を意味する。公的プランかMAか選択しない受給者は自動的に民間保険に配置する代わりに、競争入札で連邦支払いの抑制をめざす。保守派シンクタンクのヘリテージ財団「プロジェクト2025」が呼びかける改革構想が注目を集めるのは、MA加入者が過半数を占めるメディケアの費用が手に負えなくなるときだ。
注:①J.Nanos and T. Lee, Boston Globe 2024.10.21、② D. Wainer, WSJ 2024.0.19、③T.Bannow, et al., STAT 2024.10.16