石破茂政権では「社会保障制度改革は何も進まないのではないか」と見る向きは多い。現在、キャスティングボートを握った国民民主党が103万円という「年収の壁」を少数与党に呑ませる方向で邁進しているが、まだまだ胸突き八丁の手前である。
石破政権はいつまで持つのかが焦点になっているが、国民民主党が要求する政策を含んだ25年度予算の成立を花道に退陣が最も早く、参院選直前が最有力となっている。少数与党であるため、激突不可避な法改正はできない。要するに社会保障制度改革は来年度に限り行われない。
石破政権が退陣し、誰が後継になっても国会運営は苦難の連続である。自民党と公明党が参院選で勝利しなければ流れは変わらない。参院も衆院のように少数与党となれば、さらにカオスである。
比較第2党なのに、国民民主党の影に隠れてしまった感のある立憲民主党。旧民主党時代から続けている「次の内閣」。野田佳彦代表が就任して改めて組閣したが、厚生労働相は山井和則氏である。旧民主党の与党時代に厚労政務官を務めていたので順当と言えば順当だが、「12年前の政権の人材を活用せざるを得ないほど、人材が枯渇している」とある厚労官僚は語る。
すでにOBとなった幹部が多いが、旧民主党政権で初代厚労相となった長妻昭氏を筆頭に「まだ許せない」と公言しているという。若い世代はその当時を知らないものの、負の感情はまだ省内を覆っている。100%ないが大連立政権だけは勘弁だそうだ。