後発品業界は、薬機法上の最低条件を満たせばよいと考える業界である。会社である以上、利益追求はやむを得ないが、国民の健康に貢献する企業でなければならないはずだ。供給不足は国民の健康をまったく守っていないことを自覚しなければならない。後発品は政府の後押しもあり、数量シェアは86%まできた。
武見敬三前厚生労働相は後発品業界を再編の一環として、1成分5社程度を提唱したこともある。政府は安価な後発品使用を推進し、せっかく86%まで拡大させてきたのに昨今の供給不足は梯子を外されたようで、いただけない。医薬品を製造販売するには4つの要件がある。①品質管理の方法がGQP省令に適合していること、②安全管理の方法がGVP省令に適合していること、③申請者が業許可取り消しから3年以上で、その他の法令に違反したことがないこと、④総括製造管理者を設置していること——だ。
この4つのほか、製造工場はGMP省令に基づくとされる。これらの要件の詳細は省くが、医薬品は国民の健康と安全を保証する製造物でなければならないことから、医薬品の製造販売には厳しい法規制があるのだ。さらに、新たな医薬品の製造には「国の承認」と製造工場のある自治体(県)の「許可」が必要だ。承認は「国がこの医薬品の製造を承認する」というお墨付きであり、許可は「この医薬品はこの工場での製造を許可する」というものである。
この「承認」と「許可」の2つがなければ医薬品を製造することができない法体系なのだ。後発品会社の不祥事から端を発した供給不足を防ぐ目的で、日本製薬団体連合会の安定確保委員会は11月18日、24年4月から10月にかけて行った「後発医薬品の製造販売承認書と製造方法・試験方法の実態の整合性に係る自主点検取り組み結果」の報告書を公表した。
その結果、点検対象後発品(8734品目)のうち43.5%(3796品目)が承認書との不整合があった。回収対象となる重大な相違はないが、承認書(製造手順書)に準拠していない製造だったとしている。製造方法を変更するには「一部変更申請(一変)」が必要なはずだが、なされていなかったとした。軽微な変更には「軽微変更届」があり、届出でよいものもあるが、それもなされていなかったようだ。
承認書に記載のない製造方法では国民の生命を担保できない。承認書を軽視し、遵法精神に欠ける会社は、次回の製造販売業の更新を不可とし、製造業に特化させるなどの指導をすれば、後発品業界の再編も進むと考えるが、どうだろうか。