とくに冬の寒さが顕著に影響を及ぼすのは、iPadやパソコンを操作するときだ。指一本で画面をタッチするだけの動作が、腕全体に重りがついたように感じられる。前腕や上腕がまるで2キロの負荷を追加されたような感覚だ。筋肉のこわばりは血流を悪化させ、冷えが手先から腕全体、さらには足の先まで広がる。冷えが進むと、痛みとしびれがさらに強まり、集中力も奪われていく。


 読者諸氏にお願いがある。もし街中で、あるいはご自身の職場や友人のなかで、体を落ち着きなく動かしている車椅子の利用者を見かけたら、どうか理解してほしい。彼らは決して不安定なわけでも、何かに焦っているわけでもない。ただ、冷えによる硬直やこわばりを少しでも和らげようと一生懸命体を動かしているのだと。


 冬の寒さは厳しいが、それに負けず、少しでも快適な日常を送るための工夫と努力を重ねている姿なのである。