——8月のシコニア設立に伴い社長に就きました。
藤本 武田薬品、アステラス製薬、三井住友銀行の出資の下、立ち上げた。社名のシコニアは、「コウノトリ」の学名。海外で通用するバイオベンチャーやスタートアップ、製薬企業を生み出すための創薬インキュベーターとなることをめざしている。
——具体的な取り組み内容は。
藤本 アカデミアや製薬企業、バイオテックで眠っているシーズをシコニアで自ら検証・評価し、有望なデータが得られた場合、ライセンス契約を結び、別途スタートアップを立ち上げるなどして製品化するというのが事業モデル。武田や米ジョンソン・エンド・ジョンソンなどがイスラエルで行っているインキュベーションの取り組みから着想し、提唱した。化合物の検討といった研究開発まで自社で行うのがベンチャーキャピタル(VC)との違いだ。
——まずどのようなシーズから検証・評価していきますか。
藤本 例えば研究開発戦略の見直しで戦力外になったような製薬企業のシーズから着手していきたい。設置する「サイエンスアドバイザリーボード」から助言を得て、判断していく。ポイントはメカニズムやターゲットの新規性。シコニア採用のサイエンティストが、外部機関も使いながら進めていく。当面、年4〜5件導入できればと考えている。武田やアステラスだけでなく、グローバル製薬も含めた複数企業にアプローチしている。
——今後、どのようなペースで事業展開していきますか。
藤本 年度内に最初の検証・評価のための実験を行い、26年度にシコニア発の第1号スタートアップを設立するのが目標だ。27年度以降、この事業モデルを回し、海外での事業活動を基本としたスタートアップを年1〜2社、生み出せるようにしたい。サイエンティストの増員も計画中。将来は10人弱まで擁するようにしたい。