明治は株売出しがダメ押しに


 このうちアステラスと中外は今通期の業績予想を直近で上方修正したにもかかわらず、全体相場を超える下げ幅となった。


 医薬品子会社MeijiSeikaファルマを傘下に持つ明治ホールディングス(HD)も、11月は9.9%安と大きく下落(図2)。明治は今25年3月期予想の売上高1兆1590億円のうち菓子や生乳などの食品事業が9138億円と8割弱を占め、医薬品は2割強の2458億円に過ぎない。主力の食品ではカカオなど原材料高を受けて市販チョコレートの2割値上げを7月発表。今第1四半期(4〜6月)の連結営業利益が中間期(4〜9月)計画に対し高い進捗率を見せたことも好感され、株価は8月9日に一時3837円と4年ぶりの高値をつけた。



 ところが9月に新型コロナワクチン「コスタイベ」(起源株向けに23年11月承認済み)がJN・1系統株向けに一部変更承認を取得。自己増殖型という新タイプのmRNAワクチンであることから「反ワクチン」派の標的となり、株価の重しとなった。一方で11月11日には自己株式のうち1125万株の消却を発表。これを好感して株価は一時3663円まで戻したものの、同22日には株式を持ち合う複数の金融機関が明治の1273万株を売り出すと発表。今度は逆に需給悪化懸念から、12月5日には一時3172円と1年半ぶり安値に沈んだ。業績面でも中間決算が今ひとつの内容のため、この先大幅上方修正といった株価支援材料には期待しにくい。


 ただ、明治は11月20日、別の子会社KMバイオロジクスが開発し、エムポックス(サル痘)向けに追加承認を取得済みの弱毒生ワクチン「LC16KMB」が、WHO(世界保健機関)の緊急使用リストに登録されたと発表。今後の世界的流行への思惑などが同社の株価を下支えする局面はありそうだ。