日本の薬価制度はネコの目のようにくるくる変わっている。次年度の薬価改定がどのように行われるのか想像できず、製薬業界は長期展望を描けないでいる。このままでは海外投資を引き入れることもできない。生命関連産業である製薬業界もリストラの渦に巻き込まれた。MRも毎年減少し5万人を切った。医薬品卸のMSに至っては1万3000人である。


 4大臣合意では、「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立させ、国民が恩恵を受ける国民負担の軽減と医療の質の向上を実現する観点から、中間年改定を含む薬価制度改革に取り組むと明記している。だが、現状は治療薬の供給不足を招き、海外の先進的な新薬の導入は行われず、医療の質の向上は放置されたまま。さらに国民は平時の治療薬の入手にさえ、苦労している。


 政府は、産業としての製薬産業に資本を投下し、世界と競争できる産業を育成すべきだ。このままでは国民を守れない状況を呈することになる。