日本周辺で挑発行為をする米国
ロシアによるウクライナへの侵攻は米国の挑発による面もある。トルコに配置した弾道ミサイル監視レーダーが、米国が主張したイランを監視するためではなく、ロシアによるICBM(大陸間弾道ミサイル)の南半球周りの米国本土攻撃を警戒する目的だったのが発覚したことなどだ。
日本周辺の中露による領空侵犯、領海侵犯が頻発しているが、中露の領空と領海を最も多く侵犯しているのは在日、在韓米軍と言われる。それに対応した領空侵犯へのスクランブル発進を航空自衛隊と韓国空軍が担っているようなものなのだろう。
11月29日、韓国ソウル北西の軍事境界線近くに、米国を象徴するスターバックスが開店した。北朝鮮との距離が、1.5キロ程度の愛妓峰(エギボン)平和生態公園の展望台に店舗を構え、望遠鏡で非武装地帯から北朝鮮国境付近の警備状況や宣伝放送用拡声機を明瞭に視認できるほどだ。北朝鮮は屈辱的な挑発と受け取りかねない。
韓国との国境付近には戦術核兵器の中性子線被曝に耐えうるほどの地下100メートルに北朝鮮が掘っている「南侵トンネル」があり、現在までに20本ほどが発見されている。これらの地下通路はソウルの地下鉄や地下街に通じており、武力侵攻は地下から始まるものと警戒されている。今回の非常戒厳の背景には、韓国国民の大統領支持率低下に乗じた、何らかの北朝鮮による侵攻の兆候が見られたためではないかと推測する。
12月3日、米連邦捜査局(FBI)は、カリフォルニア州在住の男が、北朝鮮政府による韓国への「高度に計画された」攻撃の準備に協力したことを自白したと明らかにした。容疑者は北朝鮮政府が武器、弾薬、在韓米軍の制服を入手、韓国への攻撃を準備しようとしていると思ったと供述し、北朝鮮政府から200万ドル(約3億円)を受け取ったと語っている。
本件で出動した大韓民国第1空挺特殊作戦旅団隷下の大隊のひとつが国会議事堂に展開した。しかし、装備は市街地戦用ではなく、広視界の微光式暗視眼鏡に自動式7・62ミリ小銃などで、間合いの遠い野戦向きである。南侵トンネル掃討には適しているが、国会議事堂を封鎖するために必須の梯子や防弾盾を装備していない。動員された部隊員の証言では、出動時には北朝鮮部隊との交戦に備えるとしてヘリコプターに搭乗し、国会の庭に着陸してから国会封鎖の任務を付与されたと言う。
前回、①の「世論形成が変わる」について、日本のテレビ報道の問題を述べたが、韓国の非常戒厳も欧米に比べ日本の報道は遅かった。
北朝鮮から弾道ミサイルが頻回に発射されている日本は、デフコン3の戦時態勢である。空からの奇襲、武力侵攻事態、武装勢力から国土を守るための防衛レベルの設定と伝達方法の整備、国民への教育徹底を早急に着手すべきだ。
北朝鮮の極超音速滑空兵器は完成の段階にあり、次回の核実験に成功すれば「使える核兵器」である放射線強化核弾頭を手にすることになる。放射線強化核弾頭による攻撃は主に中性子線で、従来の戦略核兵器対策が効を奏しにくいものだ。戦争が変わっていることを踏まえた国土防衛レベルの早急な整備が求められている。