PTC、ALS治療薬の開発中止
米PTCセラピューティクスは11月27日、15-リポキシゲナーゼ阻害剤「ウトレロキサスタット」が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象とした第Ⅱ相試験で不成功に終わり、開発を中止すると発表した。同社は具体的なデータを示さず、ウトレロキサスタットがプラセボに対して有意に病勢進行を遅らせることができなかったことだけを明らかにした。同薬は酸化ストレスを低下させ、ALSの進行を遅らせることができると期待されていた。
アムジェンの肥満治療薬候補、治験で体重を減少
米アムジェンは11月26日、減量薬「マリタイド」が第Ⅱ相試験で肥満症患者の体重を1年間で最大20%減少させたと発表した。同薬は月1回投与用の注射剤で、体重減少はゼップバウンドやウゴービと遜色ないと評価された。しかし、マリタイド用量漸増群の約11%が副作用のために脱落しており、これはゼップバウンドの第Ⅲ相試験より7%高くなった。治験は第Ⅲ相試験入りする予定。
ロシュ、ポセイダ買収で細胞治療研究を拡大へ
スイス・ロシュは11月26日、ポセイダ・セラピューティクスを15億ドルで買収すると発表した。ロシュは、複数の治療領域にわたるポセイダのCAR-T療法のポートフォリオにアクセス可能になる。これにはBCMA標的薬P-BCMA-ALLO1が含まれており、多発性骨髄腫の特定の症例に対し米国食品医薬品局(FDA)から再生医療先進治療薬と希少疾病用医薬品の指定を受けている。同薬は第Ⅰ相試験で、リンパ節除去を最適化した 23例の重度前治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者で全奏効率が91%、BCMA未治療例では100%だった。
第一三共、上海にADC生産拠点を立ち上げ
第一三共の中国事業統括会社である第一三共(中国)投資有限公司は11月29日、上海市の張江科技園区に抗体薬物複合体(ADC)の生産拠点を立ち上げると発表した。投資額は約11億元(約227億円)。張江科技園区は、スイス・ロシュなども進出する同市東部のハイテク産業集積地。第一三共がADCの生産拠点を置くのは、日本、米国、ドイツに続き4ヵ国目となる。中国ではがん患者が増加しており、主力品「エンハーツ」に対する需要拡大が見込まれる。現地に供給拠点を構えることで、中国での治療ニーズに対応する。
キャッサバのアルツハイマー病薬が評価項目不達成
米キャッサバ・サイエンシズは11月25日、アルツハイマー型認知症治療薬「シムフィラム」の第Ⅲ相試験で好結果が得られなかったと発表した。治験には軽度〜中等度のアルツハイマー病患者804人が登録したが、シムフィラムは主要評価項目を達成できず、プラセボと比較し52週間投与で認知機能や日常生活機能に有意な改善は見られなかった。ADAS-Cog12スケールで測定した認知機能は、シムフィラム投与群では平均2.8ポイントの変化が認められたのに対し、プラセボ群では3.2ポイントであり、有意差は認められなかった。
ブリッジバイオ、アトルビーの承認取得
FDAは11月23日、ブリッジバイオ・ファーマの経口TTR安定化剤「アトルビー」をトランスサイレチン・アミロイド心筋症(ATTR-CM)患者の心血管死と心血管系入院を減少させる目的で承認した。アトルビーの第Ⅲ相試験は症候性ATTR-CM患者632人を対象にアトルビーまたはプラセボを30ヵ月間投与、複合評価項目である全死亡や心血管関連入院、NT-proBNP(心不全の診断や重症度を判定)と6分間歩行距離のそれぞれにおいて、プラセボに対し有意な改善を確認し、目標を達成した。