今回の通知は品目整理・統合の第1段階として、製造委託をひとつの製造所に集約し製造方法を揃えようというものだ。ひとつの製造所に集約させるが、販売名の変更は求めていない。受託した工場ではスケールアップが図れ、効率的な生産が可能になるとしている。
一方、委託した企業は製造能力に余剰が生まれ、他の製品の増産ができることから、供給不安の解消につながるとしている。さらに、製造方法を既承認品目に完全に一致させることを前提に、生物学的同等性の資料提出を求めないこととし、GMP調査は申請時には不要としている。
この特定製法変更迅速審査が適用されるのは、鑑(見本)になる品目と製造方法等を同一の内容に変更する場合、造粒工程のスケールを変更せず、混合・打錠工程のスケールのみを変更するものに限られる。申請は25年4月1日以降受け付けるとした。
しかしながら、製造所をひとつにし、製造方法を揃えたとしても、販売名の変更がなされず、銘柄数は存続する。品目統合とは言いながら銘柄数が残るのであれば、品目統合の趣旨には合致していない。多品目の流通の負担は変わらず、価格競争を引き続き惹起すると考えられる。この通知では到底品目統合とはならないのではないか。
本来の目的は、品目数の適正化と製造販売企業数の減少である。厚労省は今回の通知発出にとどまらず、品目数の削減と製造企業数の厳選に力を注ぐべきだ。行政として医薬品の供給不足を乗り越え、国民の健康維持につなげる必要がある。医薬品は生命関連商品であり、国民にはなくてはならない製造物だ。薬価を引き下げ、患者負担を増やすことばかりが政府の役割ではない。医薬品を確実に国民に届けることが、現在求められている。