第2ラウンドはすでに進行中。政権の真意は来年の交渉指針になり、新展開も可能になるが、現時点では価格交渉ばかりか肥満治療の給付適用も製薬業界に難しい財政的ハードルが待ち構えている。


 ①大手各社揃って実質的に増収だった稀な2024年、イーライリリー45%増とノボノルディスク30%増は群を抜いた、②GLP−1製剤で先行したノボは安定成長に入ったが、リリーが猛迫して市場拡大が続く、③米国糖尿病療法市場は来年1,000億ドル超、④2025年世界市場でセマグルチド3剤、チルゼパチド2剤はキイトルーダを抜く(表3)。



 始まりの段階の話だ。利用拡大、供給の増強、適応拡大、新薬、肥満療法は市場拡大の要素ばかり、公私の給付適用が需要を一気に刺激する(表4)。


 心血管リスク管理などごく一部で提供されている減量療法のメディケア開放に、民間保険も追随するのが常だが、すでに需要に応えられない供給不足の環境下の費用急増を経験している(表4)。


 不人気の適用拡大見送りを大統領は受け入れられるか。価格抑制による影響緩和が通常の策だが、薬価交渉の結論は秋、適用拡大は来年の給付設計に4月初め、遅くても初夏に決める必要がある。


注①Department of Justice, Brief for Appeals, In the United States court of appeals for the third court, 2025.2.19、②R.C. Zhang, et al., Bloomberg, 2025.2.19、③A. Feuerstein, STAT(First Opinion)、2025.2.24