時感
失われたメロンパン
20歳まで足しげく通ったパン屋が、いつの間にか閉店していて愕然とした。私の地元にはパン屋が数店しかなく、そのパン屋は繁盛していたように見えていたため、無くなることはないと思っていた。
今冬、久しぶりに地元に戻る機会があり、そのパン屋の「メロンパン」が食べたくなったため、訪れたところ、店そのものがなくなっており、空き地になっていた。調べてみたところ、約10年前に閉店していた。閉店理由はわからなかった。もうあのメロンパンが食べられない事実に直面し、悲しい気持ちになった。
そのパン屋には、小学生の頃は、体調不良で小児科の個人医院を受診後、帰宅するついでに寄っていた。中学生の時は、休日の部活動後にこっそり買い食いのため訪れ、高校生の頃は、学校の購買で販売されており、大変お世話になった。
そういった経緯からか、米どころの新潟県民でありながら「パン派」の人間になってしまい、今では旅行や仕事先で、時間に余裕があれば、個人で経営するパン屋に行くようになった。
町のパン屋をめぐっては、今、倒産が相次いでいるらしい。報道によると、ロシアとウクライナの戦争による小麦価格の高騰や人件費の上昇といったコスト高に加え、後継者不足の問題などが原因とのこと。私がこれまで訪れたパン屋についても、SNSで閉店のお知らせをしていたり、お店のホームページが無くなっていた。
現在、私はダイエットをしている。痩せた後、パン屋に限らず食事に行きたいお店をリストアップしている。SNSで見つけたダイエットの格言として「食べ物は逃げない。美味しい店も逃げない。だから今すぐに食べなくても問題ない」との言葉がある。もしかしたらこの言葉は、通じなくなってきているのかもしれない。一刻も早く痩せよう。 (半沢)