去る2月2日、「AMED次世代医療機器連携拠点整備等事業」の「関東3拠点合同シンポジウム」が開催された。この事業で、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は「世界をリードする医療機器開発には、医療機関、アカデミア、企業の連携および国の支援が欠かせない」として、14拠点を採択。令和元(2019)年度以降、それぞれ特色を持った取り組みが行われてきた〈図〉。また、関東の3拠点(筑波大学、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学)は毎年、医療機器開発のトピックを取り上げ、合同シンポジウムを開催してきた。今回は「高度管理医療機器の開発戦略ー治療デバイスの研究開発をやり抜くには?」をテーマに「第1部 治療デバイス開発者が語る研究開発の実際」「第2部 臨床現場見学・医工連携支援が活かされた研究開発事例」に分けて、当事者9名が体験を語った。ここでは第1部から「高度医療機器のグローバル開発」「医工薬連携によるがん治療へのアプローチ」に関わる話題を紹介する。


■高度医療機器のグローバル開発

 サナメディ株式会社(旧・株式会社日本医療機器開発機構)事業開発部の鵜野絢子氏は「クラスⅣデバイスのグローバル開発」をテーマに発表。前々職では国産不整脈アブレーションカテーテルの開発から市販後まで、前職では経カテーテル心臓弁の国際共同治験、現在は国産ステントグラフトの開発と、クラスⅣのカテーテル領域一筋12年の経験に基づき、成功のポイントを3つ挙げた。


【開発早期から臨床現場に深く関わる】KOLの先生方と深く頻繁な議論を重ねることが非常に重要。その理由として「❶手技トレーニング策定や指導医の育成が必要(学会と連携した施設/実施医/指導医基準を定めることもある)」「❷治験症例に立ち会うことで、適切な治験データが収集できるだけでなく、有害事象・不具合発生時のトラブルシュートや原因切り分け、潜在的な改良ニーズの抽出を可能」などが挙げられる。❷について、外資系の大企業は非常にモデルチェンジが早く改良戦略が上手い。

 なお、臨床ニーズ(臨床現場の「こんなのが欲しい」)を設計の言葉(要求仕様)に書き下すことは難しく、臨床現場から上がらずとも仕様に必要な事項もあり、設計開発の専門家との協働が必要だ。

【外資に負けない!積極的な学術活動】欧米のメーカーは、上市前、治験の段階から主要学会の late breaking session等を利用して新規性の高い研究成果をアピールする。臨床フェーズの最初期から承認申請・上市後に至るまで、長期成績を毎年文献化し学会発表して露出し続ける。First-in-manの段階から成績を発表するほか、FDAのIRB対応ガイダンス等が整備され、10年以上前から治験症例のライブ配信が当たり前に行われている。学術活動に新しい成績を盛り込み続けることが重要なのだ。

【グローバル水準のGLP試験と治験】特にステントグラフトなど大血管に関わる場合、大動物(家畜ブタやヒツジ)での試験が必要だが、国内ラボは大型動物でのOECD GLP準拠や欧米申請の経験が少ない。また、欧米ではエンドポイントや有害事象の定義や設定根拠において、学会の最新ガイドラインやステートメントに即したものが求められる。そこで日米欧三極の経験が豊富なラボ・社員・CROとの協働が必要になる。国内ではもう少し緩い印象だが、国内治験でも予めこうした違いを意識しておくと、のちのちの海外展開に役立つ。

【今後に向けて】高度医療機器のグローバル開発を成功させるために、メーカー側は臨床現場と手技に誰より詳しくなること、学術活動やGLP試験・治験では世界標準を意識すること、適切な専門家と協働することが重要だ。臨床現場の先生方には、現場見学の機会の提供や、細かなディスカッションの繰り返しへのお付き合いをお願いしたい。