<4日目/琴桜vs翔猿>
取り口は常にエキセントリックで、正々堂々には程遠い。小兵ゆえの生き残り策といえなくはないが、見る者を感心させる内容とは言えない。同じ小兵で曲者は宇良や翠富士がいる。しかし、翔猿の相撲は、体格で劣る者に見られる取り口の小気味よさがない。売り出し中の小結平戸海も小さいが、堂々として外連味のない相撲を取り、館内を沸かせる。好みだろうが、翔猿の相撲はいつも腹の立つ思いで見ている。
遠藤(前頭8枚目)も大きくはない。人気者だが、8日目は湘南乃海、9日目は豪の山に対して連日の立ち合い変化。館内を溜め息で包んだ。6、7勝目を卑怯相撲で手に入れ、10日目に勝ち越しを狙ったが、若隆景に意趣返しの変化気味の立ち合いを食らい、土俵に転んだ。若隆景は勝って首を傾げ反省する素振りを見せたが、遠藤には妙薬になったか。そこから3連敗し、千秋楽でようやく勝ち越した。卑劣なことをやれば報いが来る。「立ち合い変化カード」は、使うなら1場所1回である。2度以上やるのは戯け者である。
技量不足の行司、呼び出しは土俵を去れ
お情けで大名跡を襲名した第38代木村庄之助がようやく、今場所で引退した。独りよがりで奇矯な発声、力士にぶつかり土俵下に転落すること数知れず。転んで勝ち名乗りの軍配を上げた唯一の行事として、その名は伝統ある「行司史」に負の遺産として長くその名を留める。定年退職を前にお情けで継いだ。昇進する理由はどこにも見当たらず、ひとえに協会の悪しき伝統のうえで実現したに過ぎない。来場所からは、歯切れのよい42代の式守伊之助が結びを務める。この人も62歳だから、3年以内に庄之助を継ぐのだろうが、精進してほしい。
<夏場所4日目/豊昇龍vs平戸海>
呼び出しの力量の劣化は、行司以上である。声量は絶対的に不足し、息継ぎもまずく、いつも聞いててズッコケる。38代庄之助と次郎のコンビは史上最悪で、ここまでヘタ同士が組むほうが難しいのではと思わせるほど、技量低下が甚だしい。力士が主役だが、それを呼び出す者も差配する者も昇格試験を導入すべきである。それを生業とするのなら、見て聞いて恥ずかしくない技量を披露すべきだ。それができない者は、土俵を去らなければならない。(三)