——薬価交渉は今回が第1弾ですが、第2弾の27年が15品目、第3弾の28年が20品目と対象が拡大していきます。


髙山 すでに対象となる製品名が予想されているが、第2弾も粛々と行われるだろう。第3弾の28年からパートB(院内外来処方給付)でも実施されるが、院内処方分の取引にはリベートが含まれないので、交渉後の薬価が実質引き下げ率となるため、製薬企業は影響を受けるだろう。メディケアで支出する上位50品目が対象だが、パートBでは特定の医薬品に集中する。2型糖尿病治療薬「セマグルチド」などに注目している。



——11月5日に米大統領選があります。


髙山 CMSによる薬価交渉に関する消費者(患者)調査で、民主党支持者だけでなく、共和党支持者でも品目を「もっと増やしていい」と回答したのが7割に上る。ドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲いても、薬価交渉が廃止されることはないだろう。(森下)



(※)https://www.healthaffairs.org/content/forefront/interpreting-first-round-maximum-fair-prices-negotiated-medicare-drugs



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髙山 一夫

京都橘大学 教授

1971年石川県生まれ。京都大学経済学部卒業、京大大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。福井医科大学医学部講師、同助教授、京都橘大学文化政策学部准教授、同現代ビジネス学部教授を経て、現在は京都橘大経済学部教授、経済学部長。京大博士(経済学)。『現代アメリカ医療政策の展開』など著書多数。