鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜
ディオバン事件に思う「個人情報」は誰のものか?
第35回
鳥集徹
2017年4月1日号
この3月16日、ディオバン事件の第一審判決が出た。結果は、白橋伸雄氏、ノバルティスファーマともに「無罪」。この判決の是非については本誌でも紙面が割かれるだろうから、このコラムで論評することは避けたい。 ただ先日、ある開業医への取材で興味深いことを聞いた。米国で腕を磨いたその医師は、日本の医療界の非常識を嘆いていた。そのひとつとして、製薬会社との癒着があまりに酷いというのだ。「ある製薬会社が治験を依頼してきたんだけど、うちは忙し過ぎるから無理だって、断ったんだよ。そしたら製薬会社の社員が、『大丈夫ですよ、カルテを持って帰って、こちらでデータ処理をしますから』って言うんだよ。とんでもないことだから、断った」 そんなことがあったから、「ディオバン事件のような問題が起こっても不思議ではないと思った」とその医師は話した。ちょうど取材の日が判決だった...
この3月16日、ディオバン事件の第一審判決が出た。結果は、白橋伸雄氏、ノバルティスファーマともに「無罪」。この判決の是非については本誌でも紙面が割かれるだろうから、このコラムで論評することは避けたい。 ただ先日、ある開業医への取材で興味深いことを聞いた。米国で腕を磨いたその医師は、日本の医療界の非常識を嘆いていた。そのひとつとして、製薬会社との癒着があまりに酷いというのだ。「ある製薬会社が治験を依頼してきたんだけど、うちは忙し過ぎるから無理だって、断ったんだよ。そしたら製薬会社の社員が、『大丈夫ですよ、カルテを持って帰って、こちらでデータ処理をしますから』って言うんだよ。とんでもないことだから、断った」 そんなことがあったから、「ディオバン事件のような問題が起こっても不思議ではないと思った」とその医師は話した。ちょうど取材の日が判決だったの
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