知れば知るほど「絶望」する25年問題
「ところてん方式」で末端の看護・介護現場にしわ寄せ
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2017年4月1日号
ここ10年来、87歳になる両親の介護に頭を悩ませている。 有料老人ホームのパンフレットを集めてみた。介護職員の飛び切りの笑顔に、お年寄りたちの幸せそうなスナップが散りばめられ、まさに理想郷を思わせる。だが、その利用料に目を向けると、途端に現実に引き戻されてしまう。 入居金はまちまちだが、安いところでも200万円、高いところは軽く1000万円を超える。月々の入居費は20万円を下らない。加えて雑費が請求されると明記されている。蓄えの少ない年金生活者には夢のまた夢だ。やはり有料老人ホームは限られた裕福層のためのものであるらしい。 では、特別養護老人ホームはどうだろう。入居金はいらないが、月々の支払いは個室で9万?10万円で、相部屋なら8万円超だ。それだけの利用料を払える老人がどれだけいるのだろう。 老人の貯蓄状況は、調査によって開きはあるが、厚生労働省による...
ここ10年来、87歳になる両親の介護に頭を悩ませている。 有料老人ホームのパンフレットを集めてみた。介護職員の飛び切りの笑顔に、お年寄りたちの幸せそうなスナップが散りばめられ、まさに理想郷を思わせる。だが、その利用料に目を向けると、途端に現実に引き戻されてしまう。 入居金はまちまちだが、安いところでも200万円、高いところは軽く1000万円を超える。月々の入居費は20万円を下らない。加えて雑費が請求されると明記されている。蓄えの少ない年金生活者には夢のまた夢だ。やはり有料老人ホームは限られた裕福層のためのものであるらしい。 では、特別養護老人ホームはどうだろう。入居金はいらないが、月々の支払いは個室で9万?10万円で、相部屋なら8万円超だ。それだけの利用料を払える老人がどれだけいるのだろう。 老人の貯蓄状況は、調査によって開きはあるが、厚生労働省によると、
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