一筆入魂
告発者の有無が調査報道の成否を決める
ワセダクロニクルが越えねばならない壁
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2017年4月1日号
早稲田大学ジャーナリズム研究所が運営する「ワセダクロニクル」という調査報道ネットメディアが注目されている。 その第1弾が放たれたのは、2月1日だった。 広告代理店の大手である電通の100%子会社が、一般社団法人共同通信社の100%子会社に金銭を払って医療記事を配信してもらっていたという。広告を明記した記事なら話はわかるが、これが一般の記事として地方紙などに掲載されたのは明らかな倫理違反だ。 記者が書く一般記事は、資料や関係者から話を聞いて、そのニュース性を判断してマスコミとしての視点を堅持して原稿を書き上げる。それをデスクが客観的な目で吟味して掲載に至る。企業や政治、官公庁などの論理が排除されるから信用されているのだ。 ところが、共同通信の子会社の担当者がもとにしたのは、電通の子会社が作成したPR資料で、専門家にも直接取材していない。読者の関心...
早稲田大学ジャーナリズム研究所が運営する「ワセダクロニクル」という調査報道ネットメディアが注目されている。 その第1弾が放たれたのは、2月1日だった。 広告代理店の大手である電通の100%子会社が、一般社団法人共同通信社の100%子会社に金銭を払って医療記事を配信してもらっていたという。広告を明記した記事なら話はわかるが、これが一般の記事として地方紙などに掲載されたのは明らかな倫理違反だ。 記者が書く一般記事は、資料や関係者から話を聞いて、そのニュース性を判断してマスコミとしての視点を堅持して原稿を書き上げる。それをデスクが客観的な目で吟味して掲載に至る。企業や政治、官公庁などの論理が排除されるから信用されているのだ。 ところが、共同通信の子会社の担当者がもとにしたのは、電通の子会社が作成したPR資料で、専門家にも直接取材していない。読者の関心の
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