医薬経済オンライン

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読む医療—医師が書いた本の斜め読み—

「承認」を求める思春期心性の荒涼さ

第71回

鍛冶孝雄

2017年4月1日号

 読書子である筆者には、ずっと気持ちのなかに沈み込んでいるテーマがいくつかある。そのひとつが「いじめ」の問題だ。筆者が小中高を過ごしたのは昭和の時代。どんなに思い出そうとしても、自分がいじめを受けたという記憶はないし、いじめた記憶もない。いや、後者はわからない。私にいじめられた記憶を持つ人がいて、私がそれを「いじめた」と記憶してないだけなのかもしれない。 確かに教室で諍いや喧嘩はあったが、集団が1人をいじめることが日常的にあったという記憶もない。どうして昨今の教室ではそうしたことが起こるのか、との疑問がずっとあった。育った地域や環境の違いがあるかもしれないが、最近、見聞きするいじめは、やはり私の頃にはなかった、と思える。就労動機も「承認」 この疑問に一定のヒントをくれたのが、斎藤環著『承認をめぐる病』(筑摩書房、16年12月刊)だ。13年に日本...  読書子である筆者には、ずっと気持ちのなかに沈み込んでいるテーマがいくつかある。そのひとつが「いじめ」の問題だ。筆者が小中高を過ごしたのは昭和の時代。どんなに思い出そうとしても、自分がいじめを受けたという記憶はないし、いじめた記憶もない。いや、後者はわからない。私にいじめられた記憶を持つ人がいて、私がそれを「いじめた」と記憶してないだけなのかもしれない。 確かに教室で諍いや喧嘩はあったが、集団が1人をいじめることが日常的にあったという記憶もない。どうして昨今の教室ではそうしたことが起こるのか、との疑問がずっとあった。育った地域や環境の違いがあるかもしれないが、最近、見聞きするいじめは、やはり私の頃にはなかった、と思える。就労動機も「承認」 この疑問に一定のヒントをくれたのが、斎藤環著『承認をめぐる病』(筑摩書房、16年12月刊)だ。13年に日本評

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