読む医療―医師が書いた本の斜め読み―
「勝ち組」「負け組」に象徴される現代の病理
第70回
鍛冶孝雄
2017年4月15日号
最近の国際情勢を見ると、何だかもやもやとした不安を覚える。多くの人は読書子の私と同じような思いを持っているのではないか。専門家ではないから、その正体をずばりと表現することはできない。だが、専門家がメディアを通じて語るのを聞いても、そうした「嫌な感じ」は深まるばかりだ。英国のEU離脱、米国の大統領選の意外な展開、ロシアのクリミア半島占領、南シナ海での中国の振る舞い。加えれば混迷が深まる中東情勢、北朝鮮の核開発問題などもある。 戦後生まれだから戦前のことを肌で感じるわけではないが、歴史に学んだ視点からすると、戦前の世界情勢に近似しているようにも思える。この不安は何からきているのか、その根源的な理由を少し見せてくれる読書に出会った。ここ20年間での急激な変化 読んだのは岡田尊司著『誇大自己症候群』(朝日文庫)。今年1月末に刊行された。岡田氏は著...
最近の国際情勢を見ると、何だかもやもやとした不安を覚える。多くの人は読書子の私と同じような思いを持っているのではないか。専門家ではないから、その正体をずばりと表現することはできない。だが、専門家がメディアを通じて語るのを聞いても、そうした「嫌な感じ」は深まるばかりだ。英国のEU離脱、米国の大統領選の意外な展開、ロシアのクリミア半島占領、南シナ海での中国の振る舞い。加えれば混迷が深まる中東情勢、北朝鮮の核開発問題などもある。 戦後生まれだから戦前のことを肌で感じるわけではないが、歴史に学んだ視点からすると、戦前の世界情勢に近似しているようにも思える。この不安は何からきているのか、その根源的な理由を少し見せてくれる読書に出会った。ここ20年間での急激な変化 読んだのは岡田尊司著『誇大自己症候群』(朝日文庫)。今年1月末に刊行された。岡田氏は著名
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