医政羅針盤
政策決定を取り巻く不透明な内外情勢
山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰
2017年3月1日号
国内外の政治経済情勢が激動の時代を迎えている。あらゆる政策は、その時々の政治状況や社会経済環境などの影響を受けざるを得ない以上、今後の政策動向を考えるうえでは、広く政治経済情勢全般を視野に入れる必要がある。医療政策も例外ではない。そこで、今回は内外情勢の行方について考えてみたい。
現在、冷戦後の国際秩序が歴史的な転換期に直面している。日本の安全保障環境も、戦後で最も厳しい状況にあると言える。世界のパワーバランスが大きく変化するなか、ポスト冷戦期を規定してきた米国一極支配の構造は大きく揺らぎ、「無極化」(リチャード・ハース)している。ドナルド・トランプ大統領の下での米国の行方に注目が集まっているが、米国の問題は決してトランプ大統領だけにあるのではなく、米国の覇権に翳りが生じている構造変化こそがその根底にある。「Brexi...
国内外の政治経済情勢が激動の時代を迎えている。あらゆる政策は、その時々の政治状況や社会経済環境などの影響を受けざるを得ない以上、今後の政策動向を考えるうえでは、広く政治経済情勢全般を視野に入れる必要がある。医療政策も例外ではない。そこで、今回は内外情勢の行方について考えてみたい。
現在、冷戦後の国際秩序が歴史的な転換期に直面している。日本の安全保障環境も、戦後で最も厳しい状況にあると言える。世界のパワーバランスが大きく変化するなか、ポスト冷戦期を規定してきた米国一極支配の構造は大きく揺らぎ、「無極化」(リチャード・ハース)している。ドナルド・トランプ大統領の下での米国の行方に注目が集まっているが、米国の問題は決してトランプ大統領だけにあるのではなく、米国の覇権に翳りが生じている構造変化こそがその根底にある。「Brexit
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