医薬経済オンライン

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読む医療—医師が書いた本の斜め読み—

延命医療が敗れる時代の「予感」

第67回

鍛冶孝雄

2017年2月15日号

 一気に読める本ではないが、読後に深い感動を覚える。もう一度読み返さなければならないと思わされる読書は稀だ。今回、読んだのはアトゥール・ガワンデ著の『死すべき定め』(みすず書房、原井宏明訳、16年6月刊)。「死にゆく人に何ができるか」という副題が付いている。率直に非常に強い感動を覚えた。医学、医療で果たされない課題をわかりやすく、また論理的に示しているだけでなく、人が尊厳を持って最期を迎えることは何かを問い掛ける。読書子の私は、例えば「延命医療」の罪つくりな部分は、人生論として、あるいは医療経済的側面から一応の理解を持っていたつもりになっていたが、理解そのものが相当に不十分だったことを思い知らされた。  ガワンデは外科医で、ハーバード大学院教授であり、米誌「ニューヨーカー」の医学・科学部門のライターを務める作家でもある。10年...  一気に読める本ではないが、読後に深い感動を覚える。もう一度読み返さなければならないと思わされる読書は稀だ。今回、読んだのはアトゥール・ガワンデ著の『死すべき定め』(みすず書房、原井宏明訳、16年6月刊)。「死にゆく人に何ができるか」という副題が付いている。率直に非常に強い感動を覚えた。医学、医療で果たされない課題をわかりやすく、また論理的に示しているだけでなく、人が尊厳を持って最期を迎えることは何かを問い掛ける。読書子の私は、例えば「延命医療」の罪つくりな部分は、人生論として、あるいは医療経済的側面から一応の理解を持っていたつもりになっていたが、理解そのものが相当に不十分だったことを思い知らされた。  ガワンデは外科医で、ハーバード大学院教授であり、米誌「ニューヨーカー」の医学・科学部門のライターを務める作家でもある。10年には

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