時流遡航
コンピュータから見た人間の脳
第2回 ─脳の研究を促進させたコンピュータ科学 ─
ジャーナリスト 本田成親
2017年2月1日号
小脳で斬新な見解を示したデビッド・マーが所属したケンブリッジ大 人工知能研究をはじめとする認知科学の発展には、脳の機能解明が不可欠です。人間の大脳の脳神経細胞は140億個ほどだそうですが、それに対して大脳の10分の1の重さしかない小脳の神経細胞は1000億個以上だと言われています。それは何故なのかというのは長年の疑問でした。小脳には運動などに関わる2次的な機能しかないというのが従来の見方で、大脳が殿様なら小脳は家来に過ぎないと見做されてきたわけです。
ところが最近、コンピュータサイエンス側からの脳の研究が進み、小脳の機能について新たな発見がなされました。現代では脳の研究は、以前のような医学や生理学、病理学的な立場に加え、コンピュータを活用した工学的な立場からも実践されるようになっています。工学的な立場から脳を研究する学者は、生理学...
小脳で斬新な見解を示したデビッド・マーが所属したケンブリッジ大 人工知能研究をはじめとする認知科学の発展には、脳の機能解明が不可欠です。人間の大脳の脳神経細胞は140億個ほどだそうですが、それに対して大脳の10分の1の重さしかない小脳の神経細胞は1000億個以上だと言われています。それは何故なのかというのは長年の疑問でした。小脳には運動などに関わる2次的な機能しかないというのが従来の見方で、大脳が殿様なら小脳は家来に過ぎないと見做されてきたわけです。
ところが最近、コンピュータサイエンス側からの脳の研究が進み、小脳の機能について新たな発見がなされました。現代では脳の研究は、以前のような医学や生理学、病理学的な立場に加え、コンピュータを活用した工学的な立場からも実践されるようになっています。工学的な立場から脳を研究する学者は、生理学の研
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