社会保障で蔓延する「選別主義」
「所得放棄」と「納税忌避」の危機
参院議員政策担当秘書 岡田裕二
2017年1月15日号
16年11月22日の早朝8時、自民党本部では社会保障制度特命委員会介護プロジェクトチームが開催され、例のごとく厚労族が集い、熱い議論を交わしていた。とくにこの日は筆者の印象に残る面白い議論が行われていた。
それは財務省OBでもある野田毅特命委員長が、介護保険による福祉用具購入費の支給について、所得制限を課すべきと主張したことが端緒だった。医療・介護両保険のみならず、児童手当や特別障害者手当など、あらゆる社会保障政策には所得制限が課されている。しかし、介護給付には所得制限がないため、「トヨタの会長ですら同額の支給を受けられる」との批判を展開し始めた。
それを受け蒲原基道老健局長は「保険制度に所得制限は馴染まない」と反論。すると、木村義雄元厚労副大臣が「介護保険は今や国民から遠い存在になっている。国民があまねくサービスを受けられるイメージがあ...
16年11月22日の早朝8時、自民党本部では社会保障制度特命委員会介護プロジェクトチームが開催され、例のごとく厚労族が集い、熱い議論を交わしていた。とくにこの日は筆者の印象に残る面白い議論が行われていた。
それは財務省OBでもある野田毅特命委員長が、介護保険による福祉用具購入費の支給について、所得制限を課すべきと主張したことが端緒だった。医療・介護両保険のみならず、児童手当や特別障害者手当など、あらゆる社会保障政策には所得制限が課されている。しかし、介護給付には所得制限がないため、「トヨタの会長ですら同額の支給を受けられる」との批判を展開し始めた。
それを受け蒲原基道老健局長は「保険制度に所得制限は馴染まない」と反論。すると、木村義雄元厚労副大臣が「介護保険は今や国民から遠い存在になっている。国民があまねくサービスを受けられるイメージがある医
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