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医政羅針盤

日本経済の「後進国化」懸念と医療費

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2017年1月1日号

 かつて「経済大国」と呼ばれた日本経済は、バブル崩壊後の長期低迷を経験し、国際的に見た経済力が大きく低下している。そこからの経済再生をめざしているのが現在の安倍政権だが、1人当たりGDP(国内総生産)を国際比較すると、14年度はOECD(経済協力開発機構)加盟国中で第20位にまで転落しており、イスラエルにも抜かれている。これには、為替レートの影響もあるが、96年には世界第3位であったことを考えると、順位が大幅に低下していることに驚く。まるで「後進国化」しかねない様相だ。  過去20年間にわたるデフレの鍵は、東京大学の吉川洋名誉教授が指摘する通り、名目賃金の下落である(『デフレーション “日本の慢性病”の全貌を解明する』日本経済新聞出版社)。経済の「成熟化」ということが言われるが、高度成長が不可能で、望ましくもないのは当然だとしても、欧米...  かつて「経済大国」と呼ばれた日本経済は、バブル崩壊後の長期低迷を経験し、国際的に見た経済力が大きく低下している。そこからの経済再生をめざしているのが現在の安倍政権だが、1人当たりGDP(国内総生産)を国際比較すると、14年度はOECD(経済協力開発機構)加盟国中で第20位にまで転落しており、イスラエルにも抜かれている。これには、為替レートの影響もあるが、96年には世界第3位であったことを考えると、順位が大幅に低下していることに驚く。まるで「後進国化」しかねない様相だ。  過去20年間にわたるデフレの鍵は、東京大学の吉川洋名誉教授が指摘する通り、名目賃金の下落である(『デフレーション “日本の慢性病”の全貌を解明する』日本経済新聞出版社)。経済の「成熟化」ということが言われるが、高度成長が不可能で、望ましくもないのは当然だとしても、欧米の先

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