医者は製薬企業の「道具」だったのか
ディオバン事件、検察とノバルティスが「間接正犯」で攻防戦
2016年12月15日号
1年前に始まったディオバン事件の裁判が、大詰めを迎えている。11月25日に東京地裁で開かれた公判では、検察官がノバルティスファーマの元社員、白橋伸雄被告に懲役2年6月を求刑。本稿が出る12月中旬頃には結審する見通しとなった。ただ、これまで計38回もの公判を重ねてきたが、結局、京都府立医科大学で行われた降圧剤「ディオバン」の大規模臨床試験の研究データを「誰が」改竄したのかについては、はっきりしていない。
東京地検は14年6月に、白橋被告を、自社製品であるディオバンの宣伝に利用するため、都合よく研究データを改竄したという理由で逮捕した。容疑は医薬品医療機器法(旧薬事法)違反(虚偽記述、広告)。当初、犯人は白橋被告しかいないと思われていたが、裁判が始まると次々と医師のほうにも疑わしい行為が判明し混乱した。試験に参加した末端の医師は虚偽の症例を報告してお...
1年前に始まったディオバン事件の裁判が、大詰めを迎えている。11月25日に東京地裁で開かれた公判では、検察官がノバルティスファーマの元社員、白橋伸雄被告に懲役2年6月を求刑。本稿が出る12月中旬頃には結審する見通しとなった。ただ、これまで計38回もの公判を重ねてきたが、結局、京都府立医科大学で行われた降圧剤「ディオバン」の大規模臨床試験の研究データを「誰が」改竄したのかについては、はっきりしていない。
東京地検は14年6月に、白橋被告を、自社製品であるディオバンの宣伝に利用するため、都合よく研究データを改竄したという理由で逮捕した。容疑は医薬品医療機器法(旧薬事法)違反(虚偽記述、広告)。当初、犯人は白橋被告しかいないと思われていたが、裁判が始まると次々と医師のほうにも疑わしい行為が判明し混乱した。試験に参加した末端の医師は虚偽の症例を報告しており、
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