医薬経済オンライン

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化学構造式から薬剤師が考えるクスリ

立体異性体—とくに光学異性体について②

第6回

医化学創薬代表取締役 伊藤勝彦

2016年12月15日号

 今回は光学異性体がラセミ体よりも有用性が高い代表例を紹介します。合成抗菌剤は1962年に米国で開発されたナリジクス酸(NA)に始まります。ただし、NAはグラム陰性菌に対してだけ抗菌作用を示さず、体内動態も悪いものでした。これらの欠点を改良したのが、フッ素原子と塩基性を示すピペラジンが隣接する両性の性質を持つニューキノロンと呼ばれる抗菌剤です。「オフロキサシン」は日本発のニューキノロンで、84年9月の国内発売を皮切りに世界各国で販売されて、ベストセラーになりました。 オフロキサシンの開発に成功した第一製薬(現第一三共)の研究陣は、オフロキサシンを凌駕する化合物の探索に当たりました。多くの誘導体が合成されましたが、ラセミ体では困難との結論に至ったそうです。それから、光学異性体についても多くの化合物が合成されました。最終的にはオフロキサシンの一方の...  今回は光学異性体がラセミ体よりも有用性が高い代表例を紹介します。合成抗菌剤は1962年に米国で開発されたナリジクス酸(NA)に始まります。ただし、NAはグラム陰性菌に対してだけ抗菌作用を示さず、体内動態も悪いものでした。これらの欠点を改良したのが、フッ素原子と塩基性を示すピペラジンが隣接する両性の性質を持つニューキノロンと呼ばれる抗菌剤です。「オフロキサシン」は日本発のニューキノロンで、84年9月の国内発売を皮切りに世界各国で販売されて、ベストセラーになりました。 オフロキサシンの開発に成功した第一製薬(現第一三共)の研究陣は、オフロキサシンを凌駕する化合物の探索に当たりました。多くの誘導体が合成されましたが、ラセミ体では困難との結論に至ったそうです。それから、光学異性体についても多くの化合物が合成されました。最終的にはオフロキサシンの一方の光

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