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薬剤経済学

支払いの意向から見た抗がん剤の価値(後)

2016年12月15日号

 ダナ・ゴールドマン(南カリフォルニア大学)らの「スペシャリティ抗がん剤の価値」(HSR2010年2月)は、代表的な5つの抗がん剤を例として、オーソドックスな費用対効果を比較したものではない。治療に臨む患者が、その療法に示す支払いの意向をもとに高い価値を確認し、患者負担を重くして薬剤アクセスを制限する保険給付設計を批判している。多様な民間保険支払い(給付と患者負担の合計)の水準と薬剤利用の関係を保険請求データから分析したところ、薬剤の価値は保険支払い総額の約4倍に達し、「リツキシマブ」の4.59倍が他を圧倒していると強調した(12月1日号)。 適切な市場価格の指標がない状況で、環境が消費行動に及ぼす影響を観察して、間接的に消費者にとっての利用価値を推計する顕示選好法という分析手法を用いている。6年前の発表であり、薬価議論が激しさを増す以前(1997〜2005年...  ダナ・ゴールドマン(南カリフォルニア大学)らの「スペシャリティ抗がん剤の価値」(HSR2010年2月)は、代表的な5つの抗がん剤を例として、オーソドックスな費用対効果を比較したものではない。治療に臨む患者が、その療法に示す支払いの意向をもとに高い価値を確認し、患者負担を重くして薬剤アクセスを制限する保険給付設計を批判している。多様な民間保険支払い(給付と患者負担の合計)の水準と薬剤利用の関係を保険請求データから分析したところ、薬剤の価値は保険支払い総額の約4倍に達し、「リツキシマブ」の4.59倍が他を圧倒していると強調した(12月1日号)。 適切な市場価格の指標がない状況で、環境が消費行動に及ぼす影響を観察して、間接的に消費者にとっての利用価値を推計する顕示選好法という分析手法を用いている。6年前の発表であり、薬価議論が激しさを増す以前(1997〜2005年)

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