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時流遡航

夢想愚考—わがこころの旅路

第4回 ─伊豆半島戸田〜北から来たもうひとつの黒船とは?②─

ジャーナリスト 本田成親

2016年12月15日号

 ディアナ号に装備されていたカッターボートやランチ、さらには地元漁船などに分乗したプチャーチン提督以下500人余の艦員らは、地元漁民との必死の共同作業によって張られた艦と浜辺との間のロープを命綱として何とか激浪を乗り切り、宮島村(現在の富士市新浜一帯)に無事上陸することができた。また、そのとき一緒に艦内の貴重品や各種資材、器具類の一部も陸揚げされた。  それから2、3日後のこと、沈没寸前の状態にあったディアナ号を戸田湾内まで曳航しようということになり、駿河湾周辺の漁船100隻ほどが宮村沖に集結した。2000トン級の巨艦ディアナ号の周りに蟻のように群がるそれら手漕ぎの小漁船に曳航されて、同艦は戸田の入江のほうへと数キロメートルほどジリジリと移動したのだが、不運にもそこでまた突如海上に巻き起こった疾風に襲われ、戸田湾の北西方向8キロメート...  ディアナ号に装備されていたカッターボートやランチ、さらには地元漁船などに分乗したプチャーチン提督以下500人余の艦員らは、地元漁民との必死の共同作業によって張られた艦と浜辺との間のロープを命綱として何とか激浪を乗り切り、宮島村(現在の富士市新浜一帯)に無事上陸することができた。また、そのとき一緒に艦内の貴重品や各種資材、器具類の一部も陸揚げされた。  それから2、3日後のこと、沈没寸前の状態にあったディアナ号を戸田湾内まで曳航しようということになり、駿河湾周辺の漁船100隻ほどが宮村沖に集結した。2000トン級の巨艦ディアナ号の周りに蟻のように群がるそれら手漕ぎの小漁船に曳航されて、同艦は戸田の入江のほうへと数キロメートルほどジリジリと移動したのだが、不運にもそこでまた突如海上に巻き起こった疾風に襲われ、戸田湾の北西方向8キロメートルほ

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