読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
技術革新の速さに追いつけない知識普及
第63回
鍛冶孝雄
2016年12月15日号
もう20年以上になるが、クサガメを飼っている。デパートのペットショップで買ったときは小さかったが、今では倍以上に大きくなった。飼い始めて10年ほど経ってから、夏場に卵を産むようになった。私たち家族は、それまでそのカメをオスだと信じて疑わず、卵を見つけたときの驚きは大きかった。以来、亀を見る妻の態度は微妙に変わった。小さな連帯感が生まれたようなのだ。
飼っている側、つまり読書子の私と妻は何人かの子どもに恵まれた。幸いというべきか、皆健康に育ち、独り立ちを始めつつある。家庭とは、そうした光景が当たり前と心の底では思い込んでいる。障害児がいたり、そもそも子ども自体に恵まれない人々がいたりすることを、知ってはいるが、いつも念頭にあるわけではない。自分たちの世界が当たり前の世界であり、当たり前ができないで苦しむ人々を思いやることは大...
もう20年以上になるが、クサガメを飼っている。デパートのペットショップで買ったときは小さかったが、今では倍以上に大きくなった。飼い始めて10年ほど経ってから、夏場に卵を産むようになった。私たち家族は、それまでそのカメをオスだと信じて疑わず、卵を見つけたときの驚きは大きかった。以来、亀を見る妻の態度は微妙に変わった。小さな連帯感が生まれたようなのだ。
飼っている側、つまり読書子の私と妻は何人かの子どもに恵まれた。幸いというべきか、皆健康に育ち、独り立ちを始めつつある。家庭とは、そうした光景が当たり前と心の底では思い込んでいる。障害児がいたり、そもそも子ども自体に恵まれない人々がいたりすることを、知ってはいるが、いつも念頭にあるわけではない。自分たちの世界が当たり前の世界であり、当たり前ができないで苦しむ人々を思いやることは大層
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