医薬経済オンライン

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化学構造式から薬剤師が考えるクスリ

立体異性体—とくに光学異性体について

医化学創薬代表取締役 伊藤勝彦

2016年12月1日号

 回は薬効に密接に関係する立体異性体の話をします。まずは、大学の講義の復習です。薬剤の活性成分の大半は、有機化合物に分類されます。有機化合物は炭素化合物とも言われるように、構造の特徴は「炭素を中心として酸素、窒素、フッ素や塩素、臭素などのハロゲン原子、硫黄原子などの原子が含まれる化合物の総称」というところにあります。炭素原子は(結合できる)4本の手を持っています。そして、炭素の4つの手に別々の原子あるいは原子団が結合すると興味深い性質を獲得します。互いに重ね合わせができない2つの化合物が形成されるのです。 この性質のことをキラリティー(chirality)と言い、キラリティーがある分子をキラル(chiral)化合物と言います。その炭素は「不斉炭素」「不斉中心」と呼ばれます。一方、重なり合うことをアキラル(キラルでない=achiral)と言います。キラリティー、キ...  回は薬効に密接に関係する立体異性体の話をします。まずは、大学の講義の復習です。薬剤の活性成分の大半は、有機化合物に分類されます。有機化合物は炭素化合物とも言われるように、構造の特徴は「炭素を中心として酸素、窒素、フッ素や塩素、臭素などのハロゲン原子、硫黄原子などの原子が含まれる化合物の総称」というところにあります。炭素原子は(結合できる)4本の手を持っています。そして、炭素の4つの手に別々の原子あるいは原子団が結合すると興味深い性質を獲得します。互いに重ね合わせができない2つの化合物が形成されるのです。 この性質のことをキラリティー(chirality)と言い、キラリティーがある分子をキラル(chiral)化合物と言います。その炭素は「不斉炭素」「不斉中心」と呼ばれます。一方、重なり合うことをアキラル(キラルでない=achiral)と言います。キラリティー、キラ

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