医政羅針盤
「尾身提案」の実現可能性と問題点
山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰
2016年11月15日号
10月6日に開催された「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で、地域医療機能推進機構(JCHO)の尾身茂理事長が、医師偏在対策についての提案を行い、注目を集めた。具体的には、保険医療機関の管理者になる要件として、医師不足地域における勤務を一定期間義務付けることや、都道府県別または2次医療圏ごとに、診療科別の専攻医研修枠を設定するというものだ。医療機関の管理者要件を通じた同様の偏在対策は、10月27日の財政制度等審議会財政制度分科会でも、財務省が提言している。同分科会では、保険医の配置・定数の設定などについて、国や都道府県の権限強化も提案されている。
こうした医師配置上の規制的手法については、以前から、強制配置なども含め、さまざまな提案が行われてきたけれども、医師の自由を奪うとして、否定的な意見が強かった。他方で、医師には国民...
10月6日に開催された「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で、地域医療機能推進機構(JCHO)の尾身茂理事長が、医師偏在対策についての提案を行い、注目を集めた。具体的には、保険医療機関の管理者になる要件として、医師不足地域における勤務を一定期間義務付けることや、都道府県別または2次医療圏ごとに、診療科別の専攻医研修枠を設定するというものだ。医療機関の管理者要件を通じた同様の偏在対策は、10月27日の財政制度等審議会財政制度分科会でも、財務省が提言している。同分科会では、保険医の配置・定数の設定などについて、国や都道府県の権限強化も提案されている。
こうした医師配置上の規制的手法については、以前から、強制配置なども含め、さまざまな提案が行われてきたけれども、医師の自由を奪うとして、否定的な意見が強かった。他方で、医師には国民に必
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