鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜
服薬アドヒアランスだけでなく、「減薬」「卒薬」の支援を
第26回
鳥集徹
2016年11月15日号
「1日に10剤はザラで、20剤もの薬を処方されている患者さんもいます。そんなの飲めると思います? 飲み残して当然ですよ」 先日、高齢者医療を専門とする医師に聞いた話だ。 患者が薬を飲み残すと、処方した医師は「薬が足りないから効かないのかな」と思ってしまう。なので、さらに薬の量や種類を追加する。すると、飲み切れない薬が増えていく。 それを家族が発見して、「薬をちゃんと飲まなきゃダメよ」などと諭したりすると大変なことになる。処方された薬を全部飲んだら薬が効き過ぎて、急激に血圧や血糖値が降下し、ぶっ倒れてしまうのだ。前出の医師によると、そうやって病院に担ぎ込まれる高齢者も現実にいるのだそうだ。 1種類の薬だけを見たときには、「服薬アドヒアランス」(服薬順守)は大切なのかもしれない。だが、現実の高齢者医療では「多剤大量処方」こそが問題となっている。紹介...
「1日に10剤はザラで、20剤もの薬を処方されている患者さんもいます。そんなの飲めると思います? 飲み残して当然ですよ」 先日、高齢者医療を専門とする医師に聞いた話だ。 患者が薬を飲み残すと、処方した医師は「薬が足りないから効かないのかな」と思ってしまう。なので、さらに薬の量や種類を追加する。すると、飲み切れない薬が増えていく。 それを家族が発見して、「薬をちゃんと飲まなきゃダメよ」などと諭したりすると大変なことになる。処方された薬を全部飲んだら薬が効き過ぎて、急激に血圧や血糖値が降下し、ぶっ倒れてしまうのだ。前出の医師によると、そうやって病院に担ぎ込まれる高齢者も現実にいるのだそうだ。 1種類の薬だけを見たときには、「服薬アドヒアランス」(服薬順守)は大切なのかもしれない。だが、現実の高齢者医療では「多剤大量処方」こそが問題となっている。紹介し
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