医薬経済オンライン

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MPを宝の持ち腐れにしないために

日薬学術大会で語られなかったこと

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2016年10月15日号

 10月9〜10日、名古屋国際会議場で開かれた日本薬剤師会学術大会の片隅で、そのプログラムは開かれていた。 「全国モバイルファーマシー(MP)担当者会議」  50人が入れば満席となる小さな会議室の、ほぼ全席を埋める担当者が集まった。  MPといえば、キャンピングカーに薬局機能を付加した、いわば移動薬局だ。東日本大震災を経験した宮城県薬剤師会が開発し、今年4月の熊本地震では大車輪の活躍を見せ、一気にその有用性を世に示した。  東日本大震災では、津波で沿岸部の病院や薬局が機能不全に陥った。持病の医薬品を失った住民が詰めかける避難所で、最も求められたもののひとつに医薬品がある。医薬品卸の踏ん張りで病院などには薬が届けられたが、病院に行く足のない住民たちは途方に暮れた。  建物も薬局も流されているから、医療用医薬品の集積所もままならない。DMAT(災害派遣...  10月9〜10日、名古屋国際会議場で開かれた日本薬剤師会学術大会の片隅で、そのプログラムは開かれていた。 「全国モバイルファーマシー(MP)担当者会議」  50人が入れば満席となる小さな会議室の、ほぼ全席を埋める担当者が集まった。  MPといえば、キャンピングカーに薬局機能を付加した、いわば移動薬局だ。東日本大震災を経験した宮城県薬剤師会が開発し、今年4月の熊本地震では大車輪の活躍を見せ、一気にその有用性を世に示した。  東日本大震災では、津波で沿岸部の病院や薬局が機能不全に陥った。持病の医薬品を失った住民が詰めかける避難所で、最も求められたもののひとつに医薬品がある。医薬品卸の踏ん張りで病院などには薬が届けられたが、病院に行く足のない住民たちは途方に暮れた。  建物も薬局も流されているから、医療用医薬品の集積所もままならない。DMAT(災害派遣医療

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