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技術革新と製薬企業の明日

ノーベル賞受賞の影で

第73回 日本の研究環境は深刻な状況

生島准

2016年10月15日号

 10月3日夜、2年連続で日本人のバイオ研究者によるノーベル医学・生理学賞受賞のニュースが飛び込んできた。受賞者は東京工業大学の大隅良典栄誉教授である。会見で「基礎研究をやっていても報われることが今回の受賞で示せた」としみじみと語った大隅氏の言葉を受けて、新聞やテレビで日本の基礎研究を誇る見出しやタイトルが踊った。  しかし、詳細に調べてみると、20世紀末から21世紀に入って政府が行った一連の科学技術政策の変更によって、日本の大学は現在ノーベル賞を生んだような研究の多様性を生むメカニズムを失いつつある。政府が日本の基礎研究の強さを強調する発言を繰り返すなか、知の中核である国立大学の空洞化が恐ろしい勢いで進んでいた。確実に言えるのは、このままでは10年以降の研究業績で日本の研究者がノーベル賞を受賞できる可能性は限りなく零であるというこ...  10月3日夜、2年連続で日本人のバイオ研究者によるノーベル医学・生理学賞受賞のニュースが飛び込んできた。受賞者は東京工業大学の大隅良典栄誉教授である。会見で「基礎研究をやっていても報われることが今回の受賞で示せた」としみじみと語った大隅氏の言葉を受けて、新聞やテレビで日本の基礎研究を誇る見出しやタイトルが踊った。  しかし、詳細に調べてみると、20世紀末から21世紀に入って政府が行った一連の科学技術政策の変更によって、日本の大学は現在ノーベル賞を生んだような研究の多様性を生むメカニズムを失いつつある。政府が日本の基礎研究の強さを強調する発言を繰り返すなか、知の中核である国立大学の空洞化が恐ろしい勢いで進んでいた。確実に言えるのは、このままでは10年以降の研究業績で日本の研究者がノーベル賞を受賞できる可能性は限りなく零であるということ

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