一筆入魂
震災・災害、そのとき施設職員はとどまるべきなのか
ハード面に偏る復興の陰で置き去りにされたもの
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2016年10月15日号
東日本大震災から5年を迎えた今年3月12日、石巻市立雄勝病院の元看護師Kさん(40)は、宮城県看護協会が主催する震災フォーラムの壇上に立っていた。
「自分のしたことを、後悔しています」
ほかのスピーカーのほとんどが、震災時に奮闘し、使命を果たしたことを力説するなか、彼女の「後悔」という言葉は衝撃をもって受け止められた。
雄勝湾の岸辺に立つ雄勝病院は震災当時、40人の入院患者で満床だった。職員28人は「患者を放って逃げることはできない」と院内にとどまり、病院を呑み込んだ津波に屋上から流され、助かったのはたった4人だった。
患者を助けられなかったこと。多くの同僚らを失ってしまいながら、自分たちは生き残ってしまったこと。そんな十字架を背負わされた職員らは、メディアの取材に対して長い間、沈黙を守ってきた。
雄勝病院の職員の1人が、自ら対外的に声を挙げ...
東日本大震災から5年を迎えた今年3月12日、石巻市立雄勝病院の元看護師Kさん(40)は、宮城県看護協会が主催する震災フォーラムの壇上に立っていた。
「自分のしたことを、後悔しています」
ほかのスピーカーのほとんどが、震災時に奮闘し、使命を果たしたことを力説するなか、彼女の「後悔」という言葉は衝撃をもって受け止められた。
雄勝湾の岸辺に立つ雄勝病院は震災当時、40人の入院患者で満床だった。職員28人は「患者を放って逃げることはできない」と院内にとどまり、病院を呑み込んだ津波に屋上から流され、助かったのはたった4人だった。
患者を助けられなかったこと。多くの同僚らを失ってしまいながら、自分たちは生き残ってしまったこと。そんな十字架を背負わされた職員らは、メディアの取材に対して長い間、沈黙を守ってきた。
雄勝病院の職員の1人が、自ら対外的に声を挙げるの
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