薬剤経済学
所得格差拡大が医療の利用にも影(前)
2016年10月1日号
米国の1人当たり医療費は1963〜2012年の50年間にインフレ調整値で4.5倍(549%)となり、90年代の安定期を経て、経済の回復基調に合わせ21世紀初めに再び伸びた。しかし、世帯所得で5区分、下の20%の貧困層、上の20%の富裕層、間の3階級(60%の中間層)に分けると、警戒すべき変化が現れる。 メディケア、メディケイドの公的医療制度導入前、富裕層の半分以下だった貧困層の支出は70年代に中間層、富裕層を追い抜く。突出した状況はレーガン政権末期から〝調整〟に入るが、次の増幅期は似た軌道を辿った。しかし上昇は2004年に終わり、2012年までの8年間は、年平均3.7%ペースの減少期間にある(図1)。 これに対し、90年代まで中間層より少し高い水準だった富裕層の1人当たりは、2004年以降も上昇軌道を維持して、貧困層、中間層との差を広げている。不況を挟んで8年に20%伸ばした。一方、中間...
米国の1人当たり医療費は1963〜2012年の50年間にインフレ調整値で4.5倍(549%)となり、90年代の安定期を経て、経済の回復基調に合わせ21世紀初めに再び伸びた。しかし、世帯所得で5区分、下の20%の貧困層、上の20%の富裕層、間の3階級(60%の中間層)に分けると、警戒すべき変化が現れる。 メディケア、メディケイドの公的医療制度導入前、富裕層の半分以下だった貧困層の支出は70年代に中間層、富裕層を追い抜く。突出した状況はレーガン政権末期から〝調整〟に入るが、次の増幅期は似た軌道を辿った。しかし上昇は2004年に終わり、2012年までの8年間は、年平均3.7%ペースの減少期間にある(図1)。 これに対し、90年代まで中間層より少し高い水準だった富裕層の1人当たりは、2004年以降も上昇軌道を維持して、貧困層、中間層との差を広げている。不況を挟んで8年に20%伸ばした。一方、中間層は
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