医薬経済オンライン

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鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜

臨床研究を軽んじる大手マスコミ医療報道の罪

第22回

鳥集徹

2016年9月15日号

 この8月末、国立がん研究センターなどのグループが、大腸がんの再発を防ぐ可能性がある新たな物質を発見したと発表。朝日新聞、読売新聞、NHKなど主要メディアが、相次いで報道した。 報道によると、発見されたのは「NCB─0846」という化合物で、ヒトの大腸がん細胞を移植したマウスに投与したところ、がん幹細胞の大半を死滅させることに成功し、腫瘍の拡大を8〜9割抑えることができたという。 新たながん細胞を次々につくり出すがん幹細胞は従来の抗がん剤が効きにくく、腫瘍が縮小しても死滅しないため、がん再発や転移の原因になると考えられている。筆者もがん専門医を取材していて、がん幹細胞をいかに叩くかが、今後のがん治療戦略では重要になるとしばしば耳にしていた。 それだけに、今回の発見は非常に重要な成果だと筆者も思う。それなりに大きく報じる価値も当然あるだろう。ただ...  この8月末、国立がん研究センターなどのグループが、大腸がんの再発を防ぐ可能性がある新たな物質を発見したと発表。朝日新聞、読売新聞、NHKなど主要メディアが、相次いで報道した。 報道によると、発見されたのは「NCB─0846」という化合物で、ヒトの大腸がん細胞を移植したマウスに投与したところ、がん幹細胞の大半を死滅させることに成功し、腫瘍の拡大を8〜9割抑えることができたという。 新たながん細胞を次々につくり出すがん幹細胞は従来の抗がん剤が効きにくく、腫瘍が縮小しても死滅しないため、がん再発や転移の原因になると考えられている。筆者もがん専門医を取材していて、がん幹細胞をいかに叩くかが、今後のがん治療戦略では重要になるとしばしば耳にしていた。 それだけに、今回の発見は非常に重要な成果だと筆者も思う。それなりに大きく報じる価値も当然あるだろう。ただ、こ

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