一筆入魂
妻からの最後の伝言を胸に歩む
震災から5年で初めて明かす思い
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2016年9月15日号
妻のことを話すのに5年の歳月を要した。心の傷が癒えたとは、まだ言えない。でも、少しでも前を向いて生きていくためには、心の整理が必要だ。
だから、話そうと思う。
そういって、阿部直安さん(63)は取材に応じてくれた。
工務店を経営する阿部さんが、妻の麗子さん(当時57)と知り合ったのは22歳の頃だった。
けがで石巻赤十字病院に入院したときの担当看護師が麗子さんだ。当時はまだ痩せていて、その後ろ姿にときめいた。
退院後、付き合いが始まった。よく気の付く、それでいて太っ腹なところがあった。喧嘩をしても、すぐ折れてくれる。学年は1つ上だが、まだ子供で突っ張っていた直安さんを受け入れてくれた。
2年後に長女を授かったことをきっかけに結婚し、雄勝町での生活が始まった。3人の女児を出産する傍ら、近くの診療所の看護師として働き始め、閉院とともに現在の石巻...
妻のことを話すのに5年の歳月を要した。心の傷が癒えたとは、まだ言えない。でも、少しでも前を向いて生きていくためには、心の整理が必要だ。
だから、話そうと思う。
そういって、阿部直安さん(63)は取材に応じてくれた。
工務店を経営する阿部さんが、妻の麗子さん(当時57)と知り合ったのは22歳の頃だった。
けがで石巻赤十字病院に入院したときの担当看護師が麗子さんだ。当時はまだ痩せていて、その後ろ姿にときめいた。
退院後、付き合いが始まった。よく気の付く、それでいて太っ腹なところがあった。喧嘩をしても、すぐ折れてくれる。学年は1つ上だが、まだ子供で突っ張っていた直安さんを受け入れてくれた。
2年後に長女を授かったことをきっかけに結婚し、雄勝町での生活が始まった。3人の女児を出産する傍ら、近くの診療所の看護師として働き始め、閉院とともに現在の石巻市
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