読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
立場表明で悩んだ医師のおとぼけエッセイ
第56回
鍛冶孝雄
2016年9月1日号
多くの人が最初に「老い」を意識する瞬間は、小さな字が読みにくくなったときではないだろうか。つまり「老眼」の始まりだが、読書子である私も例外ではなかった。
眠りに入る前の布団の中で、夕刊や読みかけの本を読む習慣がいつのまにか身についていたが、眼鏡を外して読むようになったのは40歳代の終わりかけだった。だが、家人はその記憶を「いや、もっと前だった」とイヤな証言を翻さない。老眼は、確かに老いを明確に感じる出来事だが、本当の老いの自覚にはつながらないように思う。
現在はほとんどの長距離バスにトイレが設置されているが、高齢者の利用が増加して本格化したという。理由はここで記さなくても理解できるだろう。
私は、向かい風のなかで必死に漕いでいた自転車を、女子高生に軽々と抜き去られたときに愕然とした。電動自転車の...
多くの人が最初に「老い」を意識する瞬間は、小さな字が読みにくくなったときではないだろうか。つまり「老眼」の始まりだが、読書子である私も例外ではなかった。
眠りに入る前の布団の中で、夕刊や読みかけの本を読む習慣がいつのまにか身についていたが、眼鏡を外して読むようになったのは40歳代の終わりかけだった。だが、家人はその記憶を「いや、もっと前だった」とイヤな証言を翻さない。老眼は、確かに老いを明確に感じる出来事だが、本当の老いの自覚にはつながらないように思う。
現在はほとんどの長距離バスにトイレが設置されているが、高齢者の利用が増加して本格化したという。理由はここで記さなくても理解できるだろう。
私は、向かい風のなかで必死に漕いでいた自転車を、女子高生に軽々と抜き去られたときに愕然とした。電動自転車の購
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