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鎮魂の夏、2016

第95回

日本尊厳死協会理事長 岩尾總一郎(元厚労省医政局長)

2016年9月1日号

 7月7日、『大往生』著者の永六輔さんが82歳で、翌週の7月12日、「今週の遺言」と題して闘病記を週刊現代に連載していた大橋巨泉さんが83歳で亡くなった。  永さんは10年に前立腺がん、パーキンソン病を患い、11年には大腿骨を骨折して車いすの生活だったとのこと。巨泉さんは05年胃がん、13年中咽頭がん、14年リンパ節のがん、15年肺がん、そして今年2月には鼻腔がんと、まさにがんとの闘いだった。  巨泉さんの容態悪化の一因がモルヒネなどの医療用麻薬の誤投与だったと、週刊誌などで報道されている。その真偽はわからないが、86年、WHO(世界保健機関)がモルヒネなどの麻薬を用いたがん疼痛治療法を発表して以来、これら薬物の使用は世界中で急速に広まった。  しかし、日本では「麻薬」という言葉にネガティブなイメージを浮かべ、有用性よりも中毒を恐れる人が多いのは事実だ。覚せい剤...  7月7日、『大往生』著者の永六輔さんが82歳で、翌週の7月12日、「今週の遺言」と題して闘病記を週刊現代に連載していた大橋巨泉さんが83歳で亡くなった。  永さんは10年に前立腺がん、パーキンソン病を患い、11年には大腿骨を骨折して車いすの生活だったとのこと。巨泉さんは05年胃がん、13年中咽頭がん、14年リンパ節のがん、15年肺がん、そして今年2月には鼻腔がんと、まさにがんとの闘いだった。  巨泉さんの容態悪化の一因がモルヒネなどの医療用麻薬の誤投与だったと、週刊誌などで報道されている。その真偽はわからないが、86年、WHO(世界保健機関)がモルヒネなどの麻薬を用いたがん疼痛治療法を発表して以来、これら薬物の使用は世界中で急速に広まった。  しかし、日本では「麻薬」という言葉にネガティブなイメージを浮かべ、有用性よりも中毒を恐れる人が多いのは事実だ。覚せい剤や大

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