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医政羅針盤

社会に還元すべきイノベーションの利益

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2016年8月1日号

 高額薬剤の問題に注目が集まっている。大きなきっかけになったのは、國頭英夫日本赤十字社医療センター化学療法科部長による「オプジーボ」に関する問題提起だ。抗PD1抗体の研究をリードしてきた本庶佑京都大学名誉教授は、國頭氏の議論を「乱暴だ」としながらも、「僕も高いとは感じましたから、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の人に『なんで高くしたの?』と聞いたら、『日本発の薬だから応援したい』と言っていました。その気持ちはわかるけれど、もう少し下げられたのではないかという気はしますね」と率直に述べている(『文藝春秋』16年5月号)。当事者たちからさえ、こうした声が出てしまう薬価のあり方は、見直されて然るべきだ。  薬価制度は、これまでも通常の薬価改定に加え、市場拡大再算定などのルールを導入しながら、薬剤費の抑制を図ってきた。実際にオプジーボで医療費がど...  高額薬剤の問題に注目が集まっている。大きなきっかけになったのは、國頭英夫日本赤十字社医療センター化学療法科部長による「オプジーボ」に関する問題提起だ。抗PD1抗体の研究をリードしてきた本庶佑京都大学名誉教授は、國頭氏の議論を「乱暴だ」としながらも、「僕も高いとは感じましたから、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の人に『なんで高くしたの?』と聞いたら、『日本発の薬だから応援したい』と言っていました。その気持ちはわかるけれど、もう少し下げられたのではないかという気はしますね」と率直に述べている(『文藝春秋』16年5月号)。当事者たちからさえ、こうした声が出てしまう薬価のあり方は、見直されて然るべきだ。  薬価制度は、これまでも通常の薬価改定に加え、市場拡大再算定などのルールを導入しながら、薬剤費の抑制を図ってきた。実際にオプジーボで医療費がどれほ

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